前回は、調剤薬局でアイスを扱う理由を、市立病院前店の薬剤師・牧さんと、豊田駅北口店(ノムラボ)の管理栄養士・千田さんに聞きました。治療中で甘い飲みものが喉を通らない方から届いた「少し食べられた」という声。そして、必要な人に、話をしながら手渡したいという思いのお話でした。
→ 前回の記事:【栄養応援アイスのはなし】薬局の冷凍庫に、アイスがある理由
食べるのに時間がかかる。そのあいだに溶けて、器の中が液体になってしまう。
アイスを前にして、そんな心配をしたことはないでしょうか。
栄養応援アイスは、冷凍庫から出して60分たっても液状にならないようにつくられています。形がくずれにくいのが特長です。
2回目は、その溶けにくさを生かした食べ方や、冬の楽しみ方について。前回に続き、牧さんと千田さんに聞きました。
30分くらいがちょうどいい
千田さんは今回の取材に合わせて改めて試食し、このアイスが時間とともにどう変わっていくのか、食べやすいのはいつごろなのかを確かめていました。

▲冷凍庫から出して1時間近く。液状にならず、ソフトクリームのような状態
千田さん:「冷凍庫から出してから30分くらいが、ちょうど食べやすいかたさです。1時間ほどたつとソフトクリームのようになりますが、液体にはならないんです。ふわっとした、ムースのような感じ。だから、ゆっくり食べても大丈夫なんです」
一番橋店で受け取り、15分ほどかけて持ち帰ったときも、まだしっかりとかたさがあったそう。お買い物のあとでも、食事の前に出しておいても、慌てずに楽しめます。
千田さんには、病院に勤めていたころの経験もあります。
千田さん:「当時はこういう商品がなかったので、粉の栄養補助食品を水分で溶かして凍らせて、シャーベットにしていたんです。そうすると食べてくださる方がいて。抹茶を混ぜて、抹茶アイスにしたこともありました」
一方で、飲み込みに不安のある方には、慎重になるといいます。
千田さん:「そういう方に、安易に『アイスをどうぞ』とは言えないんです。どのタイミングで、どんな形になるのかを把握したうえでご提案しています。形が安定しているこのアイスは、私たちも話がしやすいですね」

▲食事に配慮が必要な方にも提案しやすい、と話す千田さん
ヨーグルトをアイスにしたもの
千田さん:「アイスというより、ヨーグルトをアイスの形にしたもの、と言ったほうが近いかもしれません」
1個でたんぱく質が5g。加熱処理した乳酸菌も入っていて、エネルギーは130kcalほど。
千田さん:「栄養応援アイスの場合、そのままでもいいですし、きなこやプロテインなどを少し足して、1食に必要なたんぱく質にもう少し近づけることもできるんです」

▲たんぱく質のほかに、乳酸菌やビタミンDも
お風呂上がりに、こたつで
アイスといえば、夏のもの。でも牧さんは、冬にこそ合うのではないかといいます。
牧さん:「濃厚なアイスって、冬のほうが売れるらしいんですね。これもクリーミーなので、冬にこたつで食べたくなるタイプかなと。普通のアイスは置いておくとべちゃっとしてしまいますが、これはそうなりにくいので」
千田さん:「やわらかくなっても、ヨーグルトの味なので食べやすい。お風呂上がりにちょっと、というのもいいと思います」
また、暮らしのリズムに合わせるという点では、治療を続けていらっしゃる方への声のかけ方にも工夫があるそうです。
牧さん:「飽きにくい味なので、続けていただきやすいんです。抗がん剤などで食欲が落ちる周期がわかっている方には、『そろそろ、また用意しておきますか』とお声がけすることもあります」
朝ごはんが進まない日にも
食事の相談は、ご本人のことだけとは限りません。
牧さん:「ご本人だけでなく、ご家族の健康のご相談にも乗っています。最近は、お子さんが朝ごはんを食べてくれない、というお話もありました。私自身、小学校から高校までずっと朝ごはんが苦手だったので、こういうものがあればよかったな、と思うんです」
朝は食欲が湧きにくい、という方は少なくありません。冷たくてさっぱりしたものなら、ひと口だけでも進むことがあります。どうしても食べられない日は、食べられるものから。そんな考え方も、店頭では伝えているそうです。

▲年代や体調に合わせて、食べ方を提案する牧さん
少し足して、飽きずに
ヨーグルトのような味だから、アレンジもしやすい。千田さんのおすすめは、身近なものを少し足す食べ方です。
千田さん:「ジャムを添えたり、黒蜜やきなこをかけたり。ヨーグルトと黒蜜って、意外と合うんです。やわらかくなってもべちゃっとしないので、混ぜたり足したりしやすいと思います」
黒蜜は、千田さんが以前、栄養補助食品の独特な甘さが苦手な方に提案したことのある組み合わせでもあるとのこと。そのときは、いつものお豆腐にお醤油ではなく黒蜜を少しかけて、デザートにしてみては、と。ヨーグルトのような味のこのアイスにも、同じ組み合わせが合うそうです。
次回は、アイスの話から少し広げて、ふたりが店頭で大切にしていること。「アイス1個からでも、相談していい」理由を聞きます。
おいしく、安全にお召し上がりいただくために
- 一度溶けたものは、もう一度凍らせないでください。見た目が変わっていなくても、溶けたあとは菌が増えやすくなります
- 持ち帰りに時間がかかるときは、保冷バッグや保冷剤があると安心です
- たんぱく質は、とればとるほどよいわけではありません。持病のある方や食事に制限のある方は、1日にいくつまでがよいかも含めて、店頭の薬剤師・管理栄養士にご相談ください
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